
毎年、この季節になると地元のテレビや新聞で必ず取り上げられる、
一般の個人宅の庭があります。青葉区子平町の千田家の庭です。
なぜかというと、市の保存樹木に指定されている藤の花があるからです。
毎年、見事な花を咲かせるということで、初めて訪れてみました。

国道48号線から土橋通に入り、貝ヶ森の住宅街へと向かって行くと、
黒塀に囲まれた大きな屋敷があります。ここが千田さん宅です。
黒塀の中が藤で埋め尽くされています。
早速、中に入らせてもらいましょう。
個人宅なので、自由に入れるのは藤の花が見頃な今の時期だけです。
今年は13日から19日まで無料開放していました。
門の中は、昔ながらの立派な日本家屋でした。
一般の人の家なので、迷惑が掛からない様に見学させてもらいましょう。
最初に見えたのは藤の花ではなく、満開の白いツツジでした。
その奥に中門がありました。
どうやら、この門の中に藤の花があるようです。
すでに多くの見物客の姿が見えます。
門をくぐると、目の前に見事な藤棚がありました。
人の背丈ほどの藤棚が庭一杯に広がっています。
藤棚の前には説明の看板が立てられています。それによると樹齢は約400年で、
昭和50年に保存樹木に指定され、昭和52年には仙台市制施行八十八周年記念の
名木古木88選に選ばれたそうです。
この藤の由来も書かれていたので、以下に内容を掲載します。
『半子町の藤。文禄2(1593)年 伊達政宗が朝鮮から持ち帰ったもので、
これを千田氏が拝領してこの地に植えたものと伝えられる。』
『花が数百の房をなして咲く古木として昔から有名であり、藩主の江戸参勤中には、
青竹を割りその中に納めて送り供覧したという。』
『なお、半子町は旧町名であり、その名は、2台藩主忠宗が足軽の中から
器量が優れているということで選び、大筒組と称してこの町に住まわせた者達が、
頭髪を半甲(半ば剃って後ろを残しておく)にしたことに由来している。』
なんと、伊達政宗公から拝領した由緒正しい藤の花だったのです。
しかも朝鮮出兵の時に朝鮮から持ち帰ったものだとか。
同じく政宗公が朝鮮から持ち帰った古木に、臥龍梅がありますが、
この梅は松島の瑞巌寺と若林区の宮城刑務所(若林城址)にあります。
この日は天気も良く、名木を一目見ようと多くの見物客が訪れていて、
携帯やカメラで写真を撮ったりしていました。
庭一面の藤棚の中に入ると、藤の花の良い香りに包まれます。
これが、この藤の本体です。太い枝が複雑に絡み合いながら四方八方に広がって、
約300平方メートルの広さの藤棚を覆い尽くしているのです。
これだけの広さの藤棚を維持管理するには、金銭的にも労力的にも
大変なことだと思います。
しかも毎年、無料で一般開放して下さっているわけですから、頭が下がります。
400年間、花を咲かせてきた藤が、これから先もずっと咲き続けて行って欲しいですね。
なお、臨時駐車場は数台分しかないので、公共交通機関を利用した方がいいでしょう。
仙台市営のバス停、子平町壽徳寺前の、すぐそばです。
JR仙山線、東北福祉大前駅からは徒歩で10分かかるか、かからない位です
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