
仙台政府倉庫が解体されるというので、どんな状況か見てきました。
宮城野区新田の東北農政局内に倉庫はありました。
画面左奥に見えているのが政府倉庫です。

すでに解体工事が始まったと聞いていたので、もう見られなくなっているかもしれない
と思いましたが、幸い、まだ建物の姿を見ることができました。

しかし、倉庫の近くまで重機が入り、一部、取り壊されつつありました。
建物の裏の方では、解体作業のための足場が組まれていました。
政府倉庫とは、米の安定供給を維持するために、
一定量の米を常に備蓄しておく倉庫です。
仙台政府倉庫は1936年に建設された古い倉庫で、
老朽化のため、2005年から使用されていませんでした。
そこに仙台市が、青葉区川内追廻地区の再整備で立ち退く住民の移転先として、
集合住宅と戸建住宅を建設する計画を立てました。
歴史ある建築物が取り壊されることを惜しむ人々から、
横浜や小樽のように倉庫を保存できないかという意見が出されました。
しかし、市は観光資源などの集客施設としての再利用は難しいと判断、
また、遅れている追廻地区の再整備事業を進めたいという思いもあり、
今月から解体工事に着手しました。
仙台政府倉庫は東北本線沿いに立地し、JR東仙台駅から歩いて5分ほどの場所で、
交通の便に恵まれた場所です。追廻地区の住民のほとんどが、
この場所への集団移転に合意しました。
一方、こちらは仙台政府倉庫から西へ6~7㎞ほどの場所にある、青葉区川内の
追廻地区です。仙台市博物館の手前、国際センターの向かい側にあり、
公園として整備が予定されています。
もともと追廻には、仙台藩の馬場がありました。戦後、空襲で焼け出された人や、
旧満州などから引き揚げてきた人たちのために住宅が作られました。
画面奥の山が仙台城跡です。
その後、青葉山公園として整備する計画が浮上、住民に立ち退きを求めました。
多くの住民はすでに他へ転居しましたが、残った住民との間で合意できず、
整備計画が遅れていました。
今回の政府倉庫跡地への集団移転合意で、問題解決へ一歩前進しました。
ふたたび仙台政府倉庫です。
仙台市が工事を急ぐのには、まだ転居に反対している追廻の一部住民に対して
移転先の整備を進めることで、説得材料にしようという思いがあるようです。
政府倉庫の保存問題と追廻地区の公園整備という、離れた場所での
ふたつの問題に揺れた政府倉庫ですが、解体作業は着々と進んでいます。
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